誘導電動機の速度制御5方式を「かご型3つ・巻線型2つ」で一気に整理する
電験三種「機械」科目の誘導電動機の速度制御を解説。回転数の式 N=Ns(1−s) を出発点に、周波数・極数・すべりのどれを変えるかで5方式を分類。かご型で使える3つ(周波数・極数・一次電圧)と、巻線型でしか使えない2つ(二次抵抗・二次励磁=クレーマ/セルビウス)に分けて、混乱しがちな速度制御を構造的に丸暗記から卒業します。
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「誘導機の速度制御、5つもあって全部ごちゃ混ぜになる」——これ、機械科目でつまずく方の“あるある”です。周波数だの極数だの一次電圧だの、似た言葉が並んで、どれがどれだか分からなくなる。
でも安心してください。5方式をバラバラに丸暗記する必要はありません。たった1本の式を入り口にすれば、「かご型で使える3つ」「巻線型でしか使えない2つ」という形に、きれいに整理できます。今日はその地図をいっしょに描いていきましょう。
この記事で身につくこと
- 速度制御のすべての出発点になる 回転数の式 の読み方
- 5方式を「周波数・極数・すべりのどれを変えるか」で見分ける視点
- かご型で使える3つと、巻線型でしか使えない2つの決定的な分かれ目
- 試験でよく問われる クレーマとセルビウスの違い、 の連鎖
暗記フレーズ:かご型は周波数・極数・一次電圧、巻線型は二次抵抗・二次励磁
まず、これだけ声に出して覚えてしまいましょう。
「かご型は周波数・極数・一次電圧。巻線型は二次抵抗・二次励磁(クレーマ/セルビウス)。式は 」
5方式を「3つ+2つ」に割るだけで、頭の中の霧がスッと晴れます。あとはこの分類の“理由”を順番に押さえていきます。
ステップ1:すべての出発点は回転数の式
速度制御とは要するに「回転数 を変えること」です。では は何で決まるのか。ここを押さえれば、5方式は“バラバラの知識”ではなく“1つの式のバリエーション”に見えてきます。
この式に出てくる文字は、たった3つ。
| 記号 | 名前 | 変える方式 |
|---|---|---|
| 周波数 | 周波数制御(VVVF) | |
| 極数 | 極数切換 | |
| すべり | 一次電圧・二次抵抗・二次励磁 |
つまり**「 を変える・ を変える・ を変える」の3パターンしかない**のです。 を変える手段が3通りあるので、合計5方式。これが全体像です。
ステップ2:かご型で使える3つ(周波数・極数・一次電圧)
ここで効いてくるのが「かご型か、巻線型か」という構造の違いです。かご型は回転子が短絡された棒(かご)だけで、外から線をつなぐ場所がありません。だから、いじれるのは固定子(一次)側からできることだけ。それが次の3つです。
| 方式 | 何を変える | ひとことメモ |
|---|---|---|
| ①周波数制御(VVVF) | 同期速度ごと連続可変。電車でおなじみ | |
| ②極数切換 | 巻き方を切り替える。段階的(とびとび)に変わる | |
| ③一次電圧制御 | 電圧を下げてトルクを落とし、すべりで調整 |
①の周波数制御は、電圧と周波数の比 を一定に保ちながら周波数を変える方式。鉄道のあの「ヒュイーン」といううなり音は、まさに周波数が変化している証拠です。
③の一次電圧制御は少し直感に反するので、連鎖でつかみましょう。トルクは電圧の2乗に比例します。
電圧を下げる → トルクが下がる → 負荷を支えきれない → すべり が増える → で が下がる。この一本道で覚えれば迷いません。
ステップ3:巻線型だけの2つ(二次抵抗・二次励磁)
一方、巻線型はスリップリングを通じて二次側(回転子)に外部回路をつなげます。この“裏口”があるからこそ使えるのが、残りの2方式です。
| 方式 | 何をする | できる機種 |
|---|---|---|
| ④二次抵抗制御 | 二次側に外部抵抗を入れてすべりを変える(比例推移) | 巻線型のみ |
| ⑤二次励磁制御 | 二次側に電圧を加えてすべりを操る | 巻線型のみ |
「④二次抵抗制御がかご型にできないのはなぜ?」——答えは明快で、かご型には抵抗をつなぐ端子がないから。ここが3つと2つを分ける一番のポイントです。ちなみに巻線型は昔は大型クレーンや巻き上げ機で活躍しましたが、現代ではインバータ制御のかご型への置き換えが進んでいます。
ステップ4:クレーマとセルビウスの違い
最後に、⑤二次励磁制御の中身です。試験では「クレーマ」と「セルビウス」の区別がよく問われます。覚え方は、セルビウスはクレーマの進化形という関係でとらえること。
| 方式 | 二次側で取り出した電力をどうする? |
|---|---|
| クレーマ方式 | 整流して消費(または機械動力として再利用) |
| セルビウス方式 | 整流したうえで、さらに電源へ回生(返送) |
ざっくり言えば、クレーマは「使い切る」、セルビウスは「電源に返してムダにしない」。返送する分だけセルビウスのほうが効率に優れた“一歩進んだ方式”、と覚えておけば十分です。
まとめ
誘導電動機の速度制御は、暗記すべき“5つの呪文”ではありません。たった1本の式 のどこを動かすか、それだけの話でした。
- 速度制御=・・ のどれを変えるか
- かご型で使える3つ:周波数(VVVF)・極数切換・一次電圧
- 巻線型でしか使えない2つ:二次抵抗・二次励磁(クレーマ/セルビウス)
- 分かれ目はスリップリングで二次側にアクセスできるか
- セルビウスは電源へ回生するクレーマの進化形
「苦手」だった速度制御も、この“3つ+2つ”の地図さえ手元にあれば、もう本番で迷うことはありません。今日のフレーズを口に出して、自分のものにしていきましょう。
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