誘導機の出力比は「1:s:1-s」で芋づる式に!すべりだけで全部わかる
電験三種「機械」科目の誘導機を解説。二次入力P2・二次銅損Pc2・機械的出力Pmが、すべりsを使って P2:Pc2:Pm=1:s:1-s というシンプルな比で表せることを、エネルギーの流れから直感的に理解。等価回路の負荷抵抗 (1-s)/s・r2 の意味や、すべりと効率の関係まで、計算問題で確実に得点できる形で整理します。
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この記事で身につくこと
電験三種「機械」科目のヤマ場のひとつが、誘導機の 電力の流れ。 「二次入力」「二次銅損」「機械的出力」と、似たような言葉が並び、しかもそれぞれに公式があって……と、ここで頭が真っ白になる受験生は本当に多いんです。
でも安心してください。この3つの電力、実は すべり s を使った「たった1つの比」 にまとまります。
- P2:Pc2:Pm = 1:s:1-s
この比さえ頭に入っていれば、3つの公式を別々に覚える必要はありません。どれか1つの値が分かれば、残りは 芋づる式 に出てきます。
本記事を読み終えたら、
- 誘導機の3つの電力の関係を「1:s:1-s」の一言で説明できる
- どれか1つの電力から、残り2つを即座に計算できる
- 等価回路の「負荷抵抗 (1-s)/s・r2」の意味が腑に落ちる
- すべり s と効率の関係まで言える
ようになります。
暗記フレーズ:1:s:1-s
P2(二次入力):Pc2(二次銅損):Pm(機械的出力)= 1:s:1-s
これだけ覚えてしまえば、誘導機の電力問題の8割は片付きます。 3つの登場人物の関係を、まず整理していきましょう。
3人の登場人物:P2・Pc2・Pm
回転子(二次側)に渡ってきた電力が、どう使われるのかを追いかけます。
- P2(二次入力) … 回転子側に渡る電力。すべての基準になる「1」。
- Pc2(二次銅損) … 二次抵抗 r2 で熱として消費される損失。比は「s」。
- Pm(機械的出力) … 軸から取り出せる本来ほしい動力。比は「1-s」。
ポイントは、P2 が Pc2 と Pm に分かれるだけ、という単純な構造です。
入ってきた電力(P2)が、一部は熱でロス(Pc2)、残りが仕事(Pm)になる。 発電機の「入力=出力+損失」と同じ、エネルギー保存のごく当たり前の話です。
なぜ「1:s:1-s」になるのか
カギは 二次銅損 Pc2 が、二次入力 P2 のちょうど s 倍 になる、という1点です。
すべり s は「同期速度に対する回転子の遅れの割合」。 回転子が同期速度に対してどれだけ滑っているか、その割合の分だけが熱(銅損)として失われる、とイメージしてください。
すると残りはこうなります。
つまり、
P2 で全体をくくり出すだけ。だから きれいに 1:s:1-s に揃うわけです。
使い方:1つ分かれば芋づる式
この比のありがたさは、どれか1つの値とすべり s が分かれば、残りが全部出る ところ。
| 分かっているもの | 求め方 |
|---|---|
| P2 と s | Pc2 = sP2、Pm = (1-s)P2 |
| Pc2 と s | P2 = Pc2 / s、Pm = (1-s)/s × Pc2 |
| Pm と s | P2 = Pm / (1-s)、Pc2 = s/(1-s) × Pm |
例えば「二次入力 P2 = 1000 W、すべり s = 0.05」なら、
- 二次銅損 Pc2 = 0.05 × 1000 = 50 W
- 機械的出力 Pm = (1 − 0.05) × 1000 = 950 W
電卓を叩く前に、比を当てはめるだけで答えの形が見えてしまいます。
等価回路の「負荷抵抗」もこの比から
誘導機の等価回路では、機械的出力 Pm を 1つの抵抗で消費される電力 として表現します。その抵抗が、
二次抵抗 r2 に流れる電流を I2 とすると、
- 二次銅損:
- 機械的出力:
この2つの比をとると、ちゃんと
となり、やっぱり 1:s:1-s の世界に戻ってきます。 「(1-s)/s・r2 を負荷抵抗とみなす」という一見ややこしい話も、元をたどればこの比の言い換えに過ぎません。
すべり s が小さいほど高効率
最後に、比 1:s:1-s から読み取れる大事な性質を1つ。
二次銅損は Pc2 = sP2。つまり すべり s が小さいほど、熱でロスする割合が減る。 その分、機械的出力 Pm = (1−s)P2 の割合が大きくなります。
| すべり s | Pc2 の割合 | Pm の割合 | 効率の傾向 |
|---|---|---|---|
| 大きい | 大(ロス多い) | 小 | 低い |
| 小さい | 小(ロス少ない) | 大 | 高い |
実際の誘導電動機が すべり数% という小さな値で運転されるのは、まさにこの「sを小さく保って高効率にする」ためなんです。比の式が、機械の設計思想までちゃんと教えてくれます。
まとめ:試験直前マスター設計図
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本の比 | P2:Pc2:Pm = 1:s:1-s |
| 二次銅損 | Pc2 = sP2 |
| 機械的出力 | Pm = (1-s)P2 |
| エネルギー保存 | P2 = Pc2 + Pm |
| 等価回路の負荷抵抗 | (1-s)/s × r2 |
| すべりと効率 | s が小さいほど高効率 |
- 誘導機の3つの電力は すべり s 1つで全部つながる
- 公式を別々に暗記せず、1:s:1-s の比で芋づる式に求める
- 等価回路の負荷抵抗 (1-s)/s・r2 も、元はこの比の言い換え
- s が小さいほど銅損が減り高効率 ── 実機が低すべり運転なのもこのため
暗記フレーズ:P2:Pc2:Pm = 1:s:1-s
このたった一行が口をついて出るようになれば、誘導機の電力計算はもう得点源です。
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