三相誘導機の回転速度を「同期速度・すべり・損失配分」で攻略
電験三種「機械」科目の誘導機を解説。同期速度Ns=120f/pとすべりsで実回転Nが決まる仕組みを土台に、二次入力P2・二次銅損Pc2・機械的出力Pmが『1:s:1−s』で結ばれることを直感的に理解。効率η=1−sまで一本道でつながり、計算問題で確実に得点できる形に整理します。
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この記事で身につくこと
電験三種「機械」科目の山場のひとつが、誘導機(三相誘導電動機)。 同期速度・すべり・二次入力・二次銅損・機械的出力……と用語が次々に出てきて、「公式が多すぎて覚えきれない」とここで足が止まる受験生は本当に多いんです。
でも安心してください。誘導機の回転速度まわりは、たった1本のストーリーでつながっています。バラバラの公式に見えるものが、実は 同期速度を基準にして、すべり s が全部を仕切っている だけ。
本記事を読み終えたら、
- 同期速度 Ns とすべり s から、実回転 N を即座に出せる
- 二次側のエネルギー配分を P2:Pc2:Pm = 1:s:1−s で一発整理できる
- 効率 η = 1−s が「なぜそうなるか」まで説明できる
ようになります。苦手意識が「これだけでいいの?」に変わるはずです。
暗記フレーズ:P2:Pc2:Pm = 1:s:1−s
二次入力 : 二次銅損 : 機械的出力 = 1 : s : 1−s
この一行が頭に入っていれば、誘導機の電力計算は迷子になりません。 「s が損失(二次銅損)の取り分、残りの 1−s が仕事(出力)の取り分」と読めれば完璧です。
ステップ1:回転の基準は「同期速度」
誘導機の回転速度を語るとき、まず基準になるのが 同期速度 Ns。これは回転磁界が回るスピードで、電源周波数 f と極数 p だけ で決まります。
ここで大事なのは、同期速度には電圧も負荷も関係ない ということ。f(周波数)と p(極数)が決まれば、回転磁界のスピードは固定されます。発電所から来る電気の周波数と、モーターの設計(極数)だけで決まる「土台」だと思ってください。
ステップ2:実際の回転は「すべり」の分だけ遅れる
ところが、回転子(ローター)は同期速度ちょうどでは回りません。少しだけ遅れて回る のが誘導機の本質です。この遅れの割合が すべり s。
これを N について解くと、
💡 ポイント:なぜ遅れる必要があるのか? 同期速度と全く同じ速さで回ってしまうと、回転子が磁束を「切らなく」なり、起電力も電流もトルクも生まれません。遅れ(すべり)があるからこそ回転子に電流が流れ、トルクが出る——これが誘導機の心臓部です。
ステップ3:二次側に渡った電力は「2つ」に分かれる
回転子(二次側)に渡される電力を 二次入力 P2 と呼びます。この P2 は、回転子の中で次の2つに分かれます。
- 二次銅損 Pc2:回転子の巻線で熱になって失われる分(損失)
- 機械的出力 Pm:実際に軸を回す仕事になる分(出力)
ここでトルク T を使って両者を表すのがコツです。
- ωs:同期角速度(回転磁界の角速度)
- ω:回転子の実際の角速度
- T:トルク(P2 も Pm も同じ T で表せるのがミソ)
トルク T が共通なので、P2 と Pm の比は 角速度の比そのもの になります。
つまり Pm = (1−s)P2。そして残りが二次銅損なので、
ステップ4:黄金比「P2:Pc2:Pm = 1:s:1−s」
ステップ3でわかったことを並べると、誘導機の最重要関係が姿を現します。
| 記号 | 名前 | 取り分 | 意味 |
|---|---|---|---|
| P2 | 二次入力 | 1 | 回転子に渡る全電力(基準) |
| Pc2 | 二次銅損 | s | 損失として失われる分 |
| Pm | 機械的出力 | 1−s | 軸を回す仕事になる分 |
⚠️ 試験頻出の使い方:問題で「二次銅損 Pc2 が与えられている」「すべり s が与えられている」ときは、この比を使えば残りの量が掛け算・割り算だけで一発で出ます。たとえば P2 がわかれば Pc2 = sP2、Pm = (1−s)P2。逆に Pc2 と s から P2 = Pc2 / s。
ステップ5:効率は η = 1−s でスッキリ
二次側の効率(二次効率)は、「渡された電力 P2 のうち、どれだけが出力 Pm になったか」です。黄金比からそのまま読み取れます。
つまり、
すべり s が小さいほど効率が高い
s が小さい=同期速度に近い=無負荷に近い状態。逆にすべりが大きいほど、二次銅損 sP2 として失われる分が増えて効率が落ちます。「すべりは回るために必要だけど、大きすぎると損」という感覚を持っておきましょう。
ミニ補足:角度と電圧の小ネタ
計算の本筋ではありませんが、選択肢のひっかけで問われることがあるので軽く押さえておきます。
- 電気角と機械的角度:電気角は磁極間の角度で 180°固定。機械的角度は極数に応じて変わり、360° × 2/p で表される。極数が増えるほど、機械が1回転する間に電気的には何周も進む。
- 電源電圧の関係:誘導機でも電圧はおおよそ の形でとらえられ、磁束 φ は励磁電流 If にほぼ比例(φ ≒ If)する。電圧・磁束・励磁のつながりを思い出す手がかりにしてください。
まとめ:試験直前マスター設計図
| ステップ | 内容 | 式 |
|---|---|---|
| ① 同期速度 | 回転磁界の基準スピード | Ns = 120f/p |
| ② すべり | 同期速度からの遅れ | s = (Ns−N)/Ns → N = Ns(1−s) |
| ③ 電力の分配 | 二次入力 → 銅損+出力 | P2 = ωsT、Pm = ωT |
| ④ 黄金比 | エネルギー配分 | P2:Pc2:Pm = 1:s:1−s |
| ⑤ 効率 | 出力÷二次入力 | η = 1−s |
- 回転速度は 同期速度 Ns を基準に、すべり s で決まる(N = Ns(1−s))
- 二次側の電力は 1:s:1−s できれいに分かれる
- 損失(二次銅損)の取り分が s、仕事(出力)の取り分が 1−s
- だから効率は η = 1−s、すべりが小さいほど高効率
暗記フレーズ:P2:Pc2:Pm = 1:s:1−s
この一行と N = Ns(1−s) がスッと出てくれば、誘導機の回転速度・電力・効率の計算問題はもう得点源です。バラバラだった公式が、すべて「すべり s」を軸につながって見えてきたはずです。
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