低圧配電方式を「地域→市街地→大都市」の3段階で攻略
電験三種「電力」科目で混乱しやすい低圧配電方式(樹枝状・バンキング・低圧ネットワーク)を、『負荷密度と信頼性で選ぶ』という一本の軸で整理。地域は樹枝状、市街地のフリッカ対策はバンキング、大都市の大口は低圧ネットワークと、使う場面から逆引きで覚える解説記事です。プロテクタ3点セットも図解で攻略します。
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この記事で身につくこと
「樹枝状・バンキング・低圧ネットワーク……名前は覚えたけど、どれをどこで使うのか毎回ごちゃごちゃになる」——配電の分野でいちばん多いつまずきが、まさにこれです。
でも安心してください。この3つはバラバラに暗記するものではありません。実は「負荷密度と信頼性で選ぶ」という、たった1本の軸の上にきれいに並んでいます。
この記事を読み終えるころには、次のことができるようになります。
- 3つの方式を**「地域→市街地→大都市」の段階**として一本道で説明できる
- 「どの場面でどの方式か」を使う場面から逆引きで即答できる
- 低圧ネットワークのプロテクタ3点セットを、役割つきでスラスラ言える
苦手意識のある配電も、見る順番さえ決めてしまえば一気にやさしくなります。いっしょに整理していきましょう。
暗記フレーズ:「地域=樹枝状、市街地フリッカ=バンキング、大都市大口=ネットワーク(最高信頼性)」
まずは全体像を一発で掴むフレーズから。
地域=樹枝状、市街地フリッカ対策=バンキング、大都市大口=ネットワーク(最高信頼性)
ポイントは、左側の「場面」から右側の「方式」を引き出すこと。試験本番でも、まず用途(地域・市街地・大都市)で場面を特定してから方式を絞る——この順番を徹底すれば、表のどこを見ればいいか迷わなくなります。
ステップ1:樹枝状方式 ——「負荷が薄い地域」のシンプルな基本形
最初は、いちばん単純な樹枝状(じゅしじょう)方式から。
1本の幹線から、木の枝のように需要家へ枝分かれさせていく構成です。設備が少なくてコストが安く、つくりやすいのが長所。負荷密度の低い郊外や地方の地域で使われます。
| 観点 | 樹枝状方式 |
|---|---|
| 使う場面 | 負荷密度が低い地域(郊外・地方) |
| 構成 | 1本の幹線から枝分かれ |
| 長所 | シンプル・低コスト |
| 短所 | 信頼性は低め(幹線が切れると先が停電) |
「負荷が薄いところに、わざわざ高価で複雑な設備はいらない」——この感覚さえ持てれば、樹枝状が選ばれる理由は腹落ちします。まずはここが3段階のスタート地点です。
ステップ2:バンキング方式 ——「市街地のフリッカ」を抑える並列の工夫
次は、ひとつ信頼性を上げたバンキング方式です。
キーワードはフリッカ(ちらつき)。これは、大型モーターの起動電流などで電圧が瞬間的に下がり、照明がチカチカする現象のこと。人や設備が集まる市街地では、これが問題になります。
そこでバンキング方式は、複数の変圧器を低圧側で並列につなぎます。並列にすることで電圧変動が分散され、ちらつきが小さくなる——これがフリッカ対策の正体です。
| 観点 | バンキング方式 |
|---|---|
| 使う場面 | 市街地(フリッカ対策が必要) |
| 構成 | 複数の変圧器を低圧側で並列接続 |
| 長所 | 電圧変動が小さい・樹枝状より信頼性が高い |
| ねらい | フリッカ(ちらつき)の抑制 |
「複数でつないで支え合う=電圧が安定する」というイメージで覚えると、樹枝状との違いがハッキリします。
ステップ3:低圧ネットワーク方式 ——「大都市の大口」を支える最高信頼性
最後は、信頼性がいちばん高い低圧ネットワーク方式です。
これは複数の配電系統から二方向給電する方式。片方の系統が故障しても、もう一方から電力が供給され続けるため、停電がきわめて起きにくいのが最大の特長です。だからこそ、絶対に止められない大都市のビル街・大口需要で採用されます。
| 方式 | 使う場面 | 信頼性 |
|---|---|---|
| 樹枝状 | 地域(負荷が薄い) | 低 |
| バンキング | 市街地(フリッカ対策) | 中 |
| 低圧ネットワーク | 大都市・大口 | 最高 |
この表のとおり、3方式は信頼性が階段状に上がっていく並びになっています。バラバラの3つではなく「1本の坂道」だと思えば、もう順番を取り違えません。
ステップ4:プロテクタ3点セット ——「地絡・過電流・逆電力」を守る番人
低圧ネットワークでもう1つ覚えたいのが、ネットワークプロテクタ。二方向給電という強みを安全に成立させるための保護装置で、次の3点セットで出題されます。
| 装置 | 役割 |
|---|---|
| ① ヒューズセレクタ | 地絡保護(漏れ電流から守る) |
| ② ヒューズ遮断器 | 過電流保護(流れすぎから守る) |
| ③ 電力方向継電器 | 逆電力(系統への逆流)を検知して切り離す |
特に③の電力方向継電器が主役です。ネットワークは複数系統がつながっているため、故障した系統へ電力が逆流する危険があります。それを「電力の向き」で見張り、逆流を検知したら回路を切り離す——これが二方向給電を安全に保つカギです。
覚え方は「地絡・過電流・逆電力を守る3つ」。3つの守る対象とセットで頭に入れましょう。
おまけ:現場ではこう効いている
試験には直接出ませんが、イメージが深まる小ネタを2つ。
- 大都市のビル街で低圧ネットワークが使われるのは、一方の系統が故障しても他方から供給が続くから。「停電できない街」を支える縁の下の力持ちです。
- フリッカは、大型モーターの起動などで電圧が一瞬下がって照明がちらつく現象。バンキングが複数変圧器の並列で電圧変動を小さくするのは、まさにこのちらつきを抑えるためです。
まとめ
低圧配電方式は、暗記の3点セットではなく**「信頼性の坂道」**でした。
- 選ぶ軸はただ1つ:負荷密度と信頼性
- 地域=樹枝状:負荷が薄い→シンプル・低コスト
- 市街地=バンキング:フリッカ対策→変圧器を並列にして電圧安定
- 大都市大口=低圧ネットワーク:二方向給電→最高信頼性
- プロテクタ3点セット:①地絡(ヒューズセレクタ)②過電流(ヒューズ遮断器)③逆電力(電力方向継電器)
本番では「まず用途で場面を特定→方式を絞る」。この順番さえ守れば、苦手だった配電の表が、逆引きでスッと読めるようになります。今日の坂道のイメージを、ぜひ得点源に変えていきましょう。
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